Sep 29, 2009
味覚の対策とアンチエイジング
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◇募る望郷の思い「帰れるが帰れない」
震災から11日で2カ月。県内にはいまも3574人(11日現在)の避難者が望郷の思いを募らせながら身を寄せている。その約3割が福島県南相馬市からの避難者だ。同市は主に福島第1原発からの距離によって政府に何らかの避難を求められた避難区域と、それ以外の地域に分かれる。山形県は距離に関係なく避難者を受け入れているが、避難区域から外れた自主避難者たちからは「帰れるが帰れない」という苦悩が浮き彫りになってきた。【前田洋平】
「電話をするたびに、近所の人たちから帰って来いと言われる」。山形市の市総合スポーツセンターで避難生活を送る豊田信子さん(72)は、床に敷いた毛布を固く握りしめた。豊田さんは、福島第1原発の避難区域から少し外れた南相馬市鹿島区鹿島に自宅があり、その隣で半世紀近く美容室を営んできた。「いつも近所の友人たちが集まっておしゃべりをするたまり場だった」と懐かしむ。
友人たちはいったん避難したが、国が指定した対象区域外のため、1カ月を過ぎたころから徐々に自宅に戻っている。豊田さんに電話で「スーパーも2軒営業しているよ」「生活に支障はないから」と現地の様子を伝えてくれる。「どうして戻ってこないの」と言われるたび、帰りたい衝動に駆られる。
美容室の状況も気がかりだ。4月中旬に荷物を取りに一時帰宅したとき、美容室の中の異変に気づいた。仕入れたばかりのパーマの染め薬などが段ボール箱ごとなくなっていた。「泥棒に入られたのかもしれない」と心配でならない。
豊田さんが帰宅をためらうのは幼い孫たちを抱え、原発事故による影響への不安が消えないからだ。一緒に山形に避難してきた三女(35)は、2歳、4歳、小学3年(8)と3人の子供がいる。「三女と孫だけを避難所に残しておくことはできない」と言う。
豊田さんは、政府が指定している避難区域にも不信感を募らせる。「政府は、避難区域外は、普通に生活しても問題ないと言っている。しかし、県など行政は、私たちのように圏外からの避難者を受け入れている。危ないということを認めているのと同じなのだと思う」と二つの基準に戸惑う。「帰りたいけど、孫たちを連れて帰る気には到底なれない」と大きくため息をついた。
原発から30キロを境にした補償問題も悩みの種だ。東京電力は30キロ圏内の避難者に100万円を補償するというが、豊田さんは「自宅は30キロ外。補償の範囲内なのだろうか」と頭を抱える。東京電力に電話をすると「近隣の市町村と調整中」との回答にとどまる。市町村に問い合わせても明確な答えは返ってこない。
南相馬市は山形県内の避難所に市職員が対応する相談窓口を設置している。スポーツセンターの避難所には同市小高区役所地域振興課の佐藤浩一課長補佐(46)が駐在する。佐藤さんは「1カ月を過ぎてから自宅に引き返す避難区域外の避難者が目立ってきた」という。「山形にとどまる人は置いて行かれたような気持ちになって、不安が募る一方だ。最近は本当に安全なのかという質問が増え、避難対象かどうかという政府の線引きに悩まされている人は多い」と自主避難者の苦悩を説明する。
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■視点
◇境界外周辺への対応
避難者の故郷を慕う気持ちは、痛いほど伝わってくる。山形市に避難する豊田信子さんは福島県南相馬市の住民だ。同市は福島第1原発の事故で「警戒区域」「緊急時避難準備区域」「計画的避難区域」、さらに避難対象外に分かれている。
豊田さんのような緊急時避難準備区域からわずかに外れた住民は「帰宅してもいい」と言われても、不安を感じる人が少なくない。自治体が避難対象外も受け入れていることで、「本当は安全ではなかったのか」と受け止めてしまう人もいる。これまでの政府や東京電力の対応から不安を募らせた住民がいぶかる気持ちは分かる。
南相馬市によると「当初、市内全域の住民に避難を指示した経緯から、全市民を補償対象にすべきだと主張しているが、政府や東京電力との調整の見通しは立っていない」という。避難区域境界外の周辺に住む人への対応も重要な課題だと思う。【前田洋平】
5月12日朝刊
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